APDSとは
ヴァージル・ダルム博士(エラスムス大学医療センター免疫科、オランダ)がAPDSとは何かを解説します。
APDSは副鼻腔感染症やその他のウィルス感染症を主な特徴とする原発性免疫不全症です。APDS患者では自己免疫性細胞減少症や炎症性疾患、リンパ球増殖症、さらには悪性リンパ腫のリスクが増加します。APDSは遺伝性疾患なので、小児でも成人でも発症する可能性があります。
総論
Webinar (2024/3/8):今井 耕輔 先生(防衛医科大学校)
「ALPID:単一遺伝子異常による自己免疫・リンパ増殖性免疫不全症」
APDS
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PIDとは
Webinar (2024/11/28):金兼 弘和 先生(東京科学大学)
「症状から紐解く原発性免疫不全症:原因不明の疾患をみておられる先生方へ」
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先天性免疫異常症の診療
Webinar (2025/4/14):岡田 賢 先生(広島大学)
「ただの感染症ではないかも:先天性免疫異常症における遺伝子検査の重要性」
新しい疾患概念 ~Phenocopy of IEI~
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APDSの最も代表的な特徴
アニタ・チャンドラ博士(ケンブリッジ大学病院、ケンブリッジ大学免疫科、イギリス)がAPDSの最も代表的な特徴について解説します。
APDSの臨床所見は非常に多様ですが、最も特徴的なものは再発性の副鼻腔・肺感染症です。溶連菌性肺炎、ヘモフィルス菌、モラクセラ菌などに繰り返し感染し再発性の副鼻腔炎、中耳炎、肺炎が惹起されるのが最も大きな特徴です。その他、再発性のリンパ節腫脹、自己免疫性細胞減少症、下痢もよく見られる特徴です。
APDSの診断方法
アニタ・チャンドラ博士(ケンブリッジ大学病院、ケンブリッジ大学免疫科、イギリス)がAPDSの診断方法について解説します。
APDSの診断には複数の判断材料があります。まずは病歴が臨床的にAPDSと合致するかどうかの判断のほか、免疫学的検査や血液検査を行って免疫系を詳しく調べます。しかしAPDSは遺伝子疾患なので、確定診断を行うためには遺伝子検査を行う必要があります。
APDSと診断されるまでの期間
ヴァージル・ダルム博士(エラスムス大学医療センター免疫科、オランダ)がAPDSの診断について解説します。
APDSの診断に至るまでには、時には何年もかかることがあります。ほとんどの患者は感染症を繰り返しますが、医師がまず、患者の感染症が反復性であること、感染症が頻回であること、抗生物質による治療の必要性が高いことを認識しなければなりません。頻回の感染症、頻回の入院といった兆候からまず免疫不全の可能性を考え、そこからAPDSを疑うことになります。
遺伝子検査とは
ヴァージル・ダルム博士(エラスムス大学医療センター免疫科、オランダ)が遺伝子検査とは何かを解説します。
APDSの確定診断には遺伝子解析が必要です。遺伝子解析とは、DNAを調べて、免疫細胞の機能に異常をきたすような欠陥があるかどうかを調べることを意味します。つまり、患者の細胞中のDNAを深く調べていくのです。
現在の治療と管理の選択肢
アニタ・チャンドラ博士(ケンブリッジ大学病院、ケンブリッジ大学免疫科、イギリス)が、APDSの現在の治療法と管理法について解説します。
他の原発性免疫不全症候群と同様に、APDSの管理には定期的なモニタリングが必要です。その他、抗生物質の予防的投与や免疫グロビン補充療法を行います。自己免疫性細胞減少症であればリツキシマブ、炎症性疾患であればステロイドというように、抗体産生不全に関連する症状に対して特異的な標的治療を行います。欧米ではリンパ球増殖症の患者にシロリムスも使用されます。最終的には、他の多くの単発性原発性免疫不全症と同様に、骨髄移植が治癒の鍵となります。
APDSと共に生きるということ
ヴァージル・ダルム博士(エラスムス大学医療センター免疫科、オランダ)が、APDSと共に生きることについて解説します。
APDSは原発性免疫不全症ですから、患者は体調不良になったり感染症にかかったりするリスクが高いことを自覚しています。最近の例としてCOVID-19を挙げると、患者はこの感染症のリスクが高いことをよく知っていますし、感染すれば重症化することもわかっています。患者は体調の悪化や入院を常に恐れていることが容易に想像されます。さらに、APDSでは感染症だけでなく、悪性疾患のリスクも高いため、患者は合併症の併発も恐れています。このため、原発性免疫不全症およびAPDSの診断を受けるということは、これらの疾患と生涯付き合っていくということを意味するのです。